2008年11月12日水曜日

拾ったエゾシカの頭骨

ずっと前になってしまいましたが、「何かの頭の骨が落ちている」という連絡が来て、ヤブこぎに行ってきました。そこに落ちていたのはこんなエゾシカの頭骨でした。
角のサイズや臼歯の様子から判断してもまだまだ幼いエゾシカのようでした。
なぜここに頭骨だけが落ちているのか謎でした。
バラバラになればたしかにキツネなどには運ばれやすいのかもしれませんが、周囲を探せば他にも見つけられるはずと思いざっと観察してみると、やはり頸骨や下顎骨が見つかりました。とりあえず「1分ほど」捜索して発見したのがこの写真にある「あるエゾシカ」の骨です。

それぞれに見所があってうれしくなってしまいます。
まずは角の部分。シカの角は毎年落ちるのですが、これは残っている時期に亡くなったのがわかります。そして角の形で年齢がわかったりしますが、随分小さな角ですし、おそらく枝分かれもしていないようですから、若いものであろうという想像できます。
サミットが行われた(懐かしい・・・)洞爺湖の中島では(中島が会場だったわけではありません(笑))大量のシカが生息していて、あまりの生息密度で個体が小さくなっているというような話も聞きます。
そんなにたくさんいるなら、シカの角だってたくさんあるだろうということで、カヌーで島に渡ったことがあります。
すると見事に角が無いのです。ガックリ。
落ちた角は齧歯類などの貴重なカルシウム源になっているのだという話でした。すごい物ですね。まさに食物連鎖です。
たしかにこの頭骨についている角の先端部もかじり取られたような痕跡があります。そして他の部分と比べると「サクサク感」があるように見えるのです。

齧歯類は、固い物をかじることが出来ますが、それと引き替えにその歯をすり減らすことになります。そうなると、補充が必要になってきて、カルシウム分も必要なわけです。こちらにフクロウのペリットから取りだしたものを載せてあります。歯の鋭さがわかります。

このエゾシカの歯に注目してみましょう。臼歯の部分を見てみると、まだ出て来ていない永久歯が見えますからやっぱり子どもです。
小中学校の教科書的には、「草食動物の臼歯は平ら」というイメージを「言葉で植え付け」てしまっていますが、この実物を見れば、そんなことはないというのがわかるはずです。「すりつぶすのに適している」のは正しいですが「平ら」ではありません。
こういうのは、現物を見て感じてもらうのが一番です。イラストだってダメなのです。ここまでの凹凸感を表すことが出来ないでしょうから。

そしてこの縫合線。身体のつくりの巧みさがよくわかります。
これも本当にうまくできているのがわかります。
実物の力というのがよくわかります。
これもまた貴重なコレクションになりました。
なんだか報告をするのが遅くなってしまいましたが、こんなふうに活用されています。
ありがとうございました。
人気ブログランキングへ
+++Amazon 書籍情報+++
エゾシカの足あとを追って (自然観察ものがたり 2)
クリックしてご覧下さい

キッティンジャー大尉、人間の最高落下速度を記録(1960年8月16日)

米空軍のジョゼフ・キッティンジャー大尉が気球による最高高度31300mからパラシュート降下し、乗物によらない人間の最高速度988km/hを記録。 アメリカ空軍のパイロット、ジョゼフ・キッティンジャー大尉はガス気球を利用して単独大西洋温暖飛行に成功するなど、様々な功績を持っている。...